慶應義塾大学 法学部 2016年 入試問題課題文の構造
- トインビーは、世界史の未来をどのように見通しているのか
- トインビーは、西洋文明がずっと優位にあるとは考えない。
- トインビーのもっとも長期的な見通しとは、世界は一つになり、世界文明がくるだろうというもの。
- 世界文明は、未来の可能性ではなく、すでに西洋文明に体現されてきている。
- 世界文学と言えば、西洋文学のことだと多くの人は決め込んでいる。
- 東洋と言えば中国だと多くの人は考えるのと同じ。
- 西洋文明は圧倒的であったため、多くの国は西洋の支配下にあった。
- 西洋文明が世界文明なのではない。西洋化が世界的傾向となっているだけである。
- 西洋化の速度はますます高まり、思いもよらないことが起こるだろう。
- 非西洋の側に、世界史の比重がかかってくるであろう。
- ◆なぜトインビーは西洋文明の優位が永続せず、非西洋が優位に立つと予測しているのであろう。
- 理由①◆西洋が優位していた理由は、ナショナリズムと近代テクノロジーとの結合のおかげだから。
- ナショナリズムは行き詰まり、テクノロジーは容易に伝播する。
- ①-1▲ナショナリズムの行き詰まりは2重の意味を含んでいる。
- 産業革命以後、1民族で作られた一国家の規模では狭小となった。
- 経済の相互依存性のために、絶対主権を維持することが困難となった。
- ナショナリズムの破たんというべき二つの世界大戦の結果、ヨーロッパの矮小化という現象が起こった。
- 帝国主義的ナショナリズムは、同様に行き詰っている。
- ①-2▼テクノロジーはすべての分野の中でもっとも抵抗なく他の文明が感受するもの。
- 近代テクノロジーは非西洋の諸文明に時のたつにつれて行きわたるだろう。
- ヨーロッパは、非ヨーロッパの米ソに追い抜かれてしまった。
- 理由②◆トインビーが勝利の陶酔と呼ぶ規則性が働くにちがいないとみているからだろう。
- おごる者は落ちぶれる。
- 大切なことは、西洋文明が西洋化によって世界に広がることで、世界文明に変質するということ。
- 世界文明は西洋の基盤の上にできる。
- 最終結論
- やがて世界文明の中心が非西洋に移るに応じて、内的多様性として、より大きい枠組みの中にはまっていくだろう。