慶應大学 総合政策学部 2016年 資料3
- 「努力すればナントカなる】のか「努力してもしかたない」のか
- これは階層論では、世代間移動の開放性/閉鎖性として知られている。
- 要は自分の親が就いていた職業と同じ職業につくか、ちがう職業につくかということだ。
- 親の職業を出発点にして子供がどういう職業についていくのかという一連のプロセスを世代間移動という。
- 子供がすべて親と同じ職業につく世界は、努力しても仕方がない閉鎖的な社会である。
- 子供がすべて親と違う職業につかなければならないような社会は同様に努力してもしかたない閉鎖的な社会だ。
- データの計測について国際的に使われているのは、オッズ比である。
- オッズ比は親の職業による「なりやすさの格差」を示す。
- しかし、オッズ比には落とし穴がある。
- 本人の現職を指標として用いることが問題である。
- 日本社会では、新卒は平社員からスタートして幹部になるまで15年程度かかる。
- 従って長期のキャリアコースが設定されている場合には、本人の現職を世代間移動の到達点にするのは適切ではない。
- そこで、40歳時点の職業を世代間移動の到達点とみなし、キャリアを代表する点であらわすこととする。
- 本人の現職でみると、日本社会は、努力しても仕方のない社会になっている。
- 1980年代前半までの戦後の階層社会は、努力すればなんとかなる社会であった。
- 従って可能性としての中流という意識は決して幻想ではない。
- しかし、20世紀の終わりから、「可能性としての中流」は消滅した。
- 開かれた選抜社会から、閉ざされた選抜社会へと社会は変わった。