2017年 慶應大学文学部


  • Living For Today 
    • トングウェ人は、手近で簡単に入手できる食料に依存する 
      • できるだけ少ない努力で生活を成り立たせるという考え方は衝撃的であった。 
    • 最小設計努力の原則は、私達が暮らす資本主義社会とはまるで違うものである。 
    • 掛谷は、トングウェ人について、嫉妬や恨み、それに起因する呪いに光を当てて説明した。 
      • 掛谷が示したのは、トングウェ人が、食べ物を分け与えることである。 
        • しかも、生産した食料の、40%程度も分け与えるのである。 
      • 彼らは度々食料が欠乏する。 
    • 最小設計努力と食物の平均化は超自然的な世界と関係を持っている。 
      • 分け与えない人は恨まれる。 
    • このような世界では、努力をする人間は、短期的には損をする。 
    • 最小限に努力しようとする態度は、資本主義社会の職場でも見られる。 
    • 1980年代にゴラン・ハイデンは、このような経済を「情の経済」と名付けた。 
      • 情の経済は、その後利他的、道徳的傾向として再解釈された。 
    • 私は前述のような社会感に魅力を感じることができなかった。 
      • 皆が同じであるような抑圧された社会は息苦しく楽しく思えなかった。 
    • しかし、ある零細商人の研究から、別の解釈を試みたくなった。 
    • (話は変わるが)「時間についての十二章」という著作は時間論である。 
      • 著者の内山によれば、近代化とは、時間の合理化が成立する過程である。 
        • 内山はこのような時間からの主体性の剥奪こそが、生き辛さの源であると説く。 
        • 時間がゆっくりと流れる農村では、仕事を時間あたりの労働投下であるという認識は少ない。 
      • タンザニアは、ここで紹介した農村とは違う。 
        • どうかなったらその時に対処するという考え方がタンザニアでは重視されているように感じる。 
          • この考え方は、時間を操る生き方の技法と解釈することもできる。 
        • タンザニアの住人は、その時に食べているもので人をもてなす。 
          • この考え方はホスピタリティーであり、社会を円滑にする技法である。 
    • 上記のように解釈すると、彼らは時間を操る達人のようにも思えるのだ。 
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